開発技術名

山田錦最適作期決定システムの開発

 

技術開発の経緯

 平成10年以降の登熟期平均気温が約2℃上昇しており、出穂・成熟期が早まる中、玄米の充実不足による検査等級の低下、酒造適性の変化が問題となっていた。登熟期の高温を回避する対策として、6月20日を限界日として遅植え栽培を推奨しているが、その最適日は把握されていなかった。

 

開発技術の内容

 営農指導現場で活用できるPC用の「山田錦最適作期決定システム」を開発した。Excelとインターネットの地図サービスを組み合わせて、ほ場毎の移植日(準平年値基準)を表示するシステムである。
ア 高い玄米品質(精玄米歩合や検査等級の向上)と適正な酒造適性(蒸米の消化性程度)を確保するためには、出穂後11~20日の平均気温が23℃以下であることが必要である。
イ 地形要因を詳細に反映させた50m区画(メッシュ)の気温推定法の実用化と気温データを構築した。ほ場の位置の特定には地理座標を必要とするが、地図サービス等を利用すれば容易に取得可能である。生産者向けには、地域の移植日を一覧できるように、「移植日マップ(移植日の等値線図)」を作成した。

 

期待する効果

ア 本システムは、山田錦産地の気温を50m区画で推定でき、通常利用される1km区画と比較すると、山間地における局地気象を反映できるため、移植期の推定の精度が向上する。
イ 本システムで推定した移植日を生産者が活用することで、乳白米や背白米の発生を約6%(酒米試験地における平年値)以下に抑制することが期待される。
ウ 等級検査において、特等以上の上位等級比率を現状の73.5%(試験開始前、最大値・最小値のデータを除いた5か年の平均値)から、85%以上に向上させることが期待される。

 

連絡先

農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412