開発技術名

「紫黒米新品種「兵系紫86号」の育成」

 

技術開発の経緯

 紫黒米品種については、平成18年に育成した「ゆかりの舞」は、たつの市を中心に県下で約6ha前後生産されてきたが、「ゆかりの舞」はいもち病に弱く、特に穂いもちが多発した場合に収量の減少が大きく、生産者から、いもち病に強い紫黒米品種が、また、実需者からはアントシアニン色素量がより多い品種との要望があった。そこで、平成13年に「紫876-5」と「関東198号」を交配した組合せの中から、「ゆかりの舞」よりいもち病に強く、玄米果皮のアントシアニン色素量の多いものを選抜し、「兵系紫86号」を育成した。

 

開発技術の内容

ア 「ゆかりの舞」とはほぼ同熟の早生種。短稈の偏穂重型で耐倒伏性は強。脱粒性は難である。
イ 芒の発生は少程度で、長さは短く、芒及びふ先色は紫色。ふ色は黄土色。葉耳は紫色で、葉身にもかすり状に紫色の部分的な着色があり、食用米などとの識別性が高い。
ウ 葉いもち圃場抵抗性は「ゆかりの舞」より強く、中程度である。
エ 収量性は「ゆかりの舞」よりやや低い。粒形はやや長で、粒大は千粒重が27g前後で大きい。粒の暗紫色は「ゆかりの舞」より濃い。アントシアニン色素量は「ゆかりの舞」の1.5~2倍と多い。

 

期待する効果

 今回育成した新品種を利用することで、穂いもちの発生が少なくなり、紫黒米品種の安定生産に寄与する。また、玄米果皮のアントシアニン色素量が多いので実需者の評価はかなり高い。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412 (作成者:池上 勝)