開発技術名

「酒米「兵庫錦」の醸造適性を考慮した栽培指標の確立と省力施肥体系の構築」

技術開発の経緯

酒米「兵庫錦」について、醸造適性を保ちながら収量の高位安定化を図るための栽培指標を確立し、その指標に対応した省力施肥体系を構築することで、現地における円滑な品種導入を支援する。

 

開発技術の内容

ア 栽培指標の確立: 「兵庫錦」は葉色が濃く、稈長が90cmに達しても直立したままで、耐倒伏性に優れる。ただし、籾数が過多になると急激に子実の充実が劣化する。このため収量を480kg/10a、着生籾数24,000粒/㎡(穂数:360本/㎡、一穂籾数66粒)を上限に、登熟歩合75%、千粒重28.5g、タンパク質含有率7.0%を目標とする。この原料を用いた日本酒は、香り成分であるカプロンサンエチル(リンゴの香り)、酢酸イソアミル(バナナの香り)の濃度が高い。
イ 省力施肥体系の構築:アを達成するための基準窒素施肥量を7.0kg/10aとし、「LP140E-80(N-P-K=14-14-14)」N-5.6kg/10aに加えて、穂肥をN-1.4kg/10a追肥することで、安定した収量、品質が得られる。また、新たに開発した穂肥を代替する被覆尿素を配合した「兵庫錦」向け新規肥効調節型肥料「LP2200(N-P-K=22-10-10)」(窒素成分のうち、速効性窒素が17%、被覆尿素の配合比はLP140とLPS120を約2:1)、は全量基肥施用で、上記の分施体系と同等の収量、品質が得られる。

 

期待する効果

被覆尿素配合肥料「LP2200(N-P-K=22-10-10)」の全量基肥施用により、「兵庫錦」の良好な醸造適性を維持しながら省力的に収量の高位安定化が見込め、さらに、現物施肥量が減って肥料費が3071円/10a削減され、生産コストも1372円/60kg低減可能である。

 

連絡先

農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412 (作成者:牛尾 昭浩)