開発技術名

「安価で高精度なRTK-GNSSトラクタガイダンスの開発」

 

技術開発の経緯

 RTK-GNSSトラクタガイダンスは、欧米や北海道等の大規模畑作で導入が進んでいる作業技術で、代かきやブームスプレイヤーでの液剤散布における重複部分の低減、畝立て作業や播種作業における均等間隔の確保等、各種作業の画期的な精度向上、均一化、効率化が図られている。ところが、機材が高価格なためにごく一部の大規模経営で導入されているに過ぎず、中山間地等での狭小圃場を抱える中小の経営体でも活用できる費用対効果の高い安価なシステムが求められている。

 

【用語解説】 RTK-GNSS:人工衛星等から発信された電波情報に基づいて、位置・進路・速度・時刻情報が得られるシステムを活用して、既知点(基地局)からの補正観測情報を携帯電話や無線を利用して移動局に送信し、移動局の位置をリアルタイムで高精度に測定する方法。 トラクタガイダンス:位置情報等に基づいて圃場での効率的な目標作業経路を自動生成し、モニターに表示して作業進行経路を誘導するしくみ。

開発技術の内容

ア 本システムは、経路誘導を表示するモニター、トラクタに搭載する移動局と位置情報を補正する基地局のセットで構成される。従来のGPS方式では位置精度で20~60cmの誤差が生じるが、RTK-GNSS方式では、5cm以内の誤差で農作業の進行経路を誘導表示することが可能である。
イ 播種作業においては、従来の隣接行程旋回作業体系に比べて、トラクタガイダンスを用いた1行程とばし作業体系により作業時間が約26%短縮できる。
ウ RTK-GNSSトラクタガイダンスは数百万円の費用が必要であったが、汎用部品を組み合わせて大幅なコスト削減を図り、精度を確保しながら70~75万円程度の費用で導入可能である。

 

期待する効果

 中山間地域で狭小不整形圃場を多数抱える経営体において、トラクタや乗用管理機で実施する農作業の精度向上、均一化、効率化が図られ、生産コスト低減、収益性向上につながる。

 

連絡先

農業技術センター農産園芸部  0790-47-2412(作成者:牛尾 昭浩)