開発技術名
「酒米新品種「Hyogo Sake 85」の育成」
技術開発の経緯
酒米新品種「Hyogo Sake 85」は、昭和61年に韓国の超多収品種「水原258号」に「山田錦」を交配し育成した品種である。育成中の平成10年から温暖化による米の品質低下が問題になり、その中で本品種は高温条件下でも品質が優れていたため、平成29年11月22日に品種登録出願し、平成30年2月23日に出願公表に至った。また、平成28年度から農林水産省の「革新的技術開発・緊急展開事業」において、輸出向けの日本酒製品の原料として取り上げ、品種名は海外で日本酒産地としてブランド力がある「兵庫」を用い、ローマ字表記し、輸出を意識した名称とした。
開発技術の内容
ア 生育特性:出穂期は、「兵庫北錦」より2日早い極早生種である。稈長は「五百万石」とほぼ同じで、耐倒伏性は中~やや強である。葉いもち圃場抵抗性は強である。耐冷性は「兵庫北錦」より強く、「五百万石」並の中である。
イ 収量、玄米品質:収量性は「兵庫北錦」よりやや低い。千粒重は27.4gで、心白発現率は81.6%と高く、心白大の割合が高い。腹白米、乳白米、背白米の発生は少ない。玄米タンパク質含有率は「兵庫北錦」、「五百万石」よりやや低い。検査等級は「兵庫北錦」、「五百万石」よりもやや優れる。
ウ 酒造適性:酒類総合研究所の醸造試験では、精米時の砕米が多く、高精米には適していないが、粕歩合は少なく、酒化率は高く、85%の低精米でも醸造酒の香りが高い。
期待する効果
酒米新品種「Hyogo Sake 85」は、輸出向けの日本酒製品開発の原料として酒造メーカーに期待されている。また、品種名は輸出向けにアピール性が高い。 「Hyogo Sake 85」は「兵庫北錦」、「五百万石」と比較して品質が優れている。また、葉いもち圃場抵抗性が強く、耐冷性も「兵庫北錦」より強く、県北部での普及に適していると考えられる。
連絡先
農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412 (作成者:杉本 琢真)