開発技術名

「夏季高温時における気化冷却を利用した接ぎ木苗養生技術」

 

技術開発の経緯

 トマトでは耐病性付与や樹勢維持のため強勢台木への接ぎ木が行われる。接ぎ木後は穂木と台木の組織を活着させるため、一週間程度多湿条件におく養生作業が必要となるが、手作業での養生は多くの労力を要し、夏季高温時には過昇温と乾燥により活着率が低下しやすい。そこで、夏季高温時における接ぎ木苗の活着率向上および作業の省力化を目的として、簡易設置型パッド&ファン(以下「簡易P&F」)およびUECS自作型システムを用いた温湿度管理による接ぎ木苗養生技術の開発に取り組んだ。

 

開発技術の内容

ア POフィルムで四方を覆った生育用チャンバーに、気化冷却冷房装置である簡易P&Fを装備した「作物育成システム」をベースに、以下の改良を行う。
①チャンバー内部の光量調節のため外部に遮光資材(遮光率90%)を展張
②加湿能力向上のためチャンバー内部にミスト発生装置(超音波式加湿機)を設置
イ UECS自作型システムに簡易P&F及びミスト発生装置を接続し、簡易P&Fはチャンバー内温度が29℃を超えると運転し、ミスト発生装置はチャンバー内相対湿度が92%以下で常時運転するように設定し、自動的に制御する。
ウ トンネル被覆と手動噴霧を用いた慣行手法に比べ、チャンバー内の温湿度環境が安定し、過度の温度上昇及び湿度低下を回避できる。この結果、接ぎ木苗の活着率は91.7%と慣行法80.6%より高くなる。また養生に係る作業時間は7.3時間/10aで慣行法に比べ19%削減される。

 

期待する効果

 本技術の導入により、夏季高温時における接ぎ木苗養生時の活着率向上および省力化が期待できる。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部 0790-47-2423 (作成者:渡邉 圭太)