開発技術名

簡易設置型パッドアンドファン装置による夏期高温期施設内の加湿冷却とトマトの生育及び収量改善

 

技術開発の経緯

 近年の気候温暖化や害虫侵入防止目的の細密防虫ネット被覆の増加等により、施設内の高温化が顕在化し、トマト着果不良等の生育障害や作業者の熱中症等の健康被害が大きな問題になっていた。
 そこで、本県に多い中小規模の栽培施設にも導入しやすい加湿冷却装置「簡易設置型パッドアンドファン」を用いた高温抑制技術及びトマト生育促進技術の開発を行った。

 

開発技術の内容

ア 簡易設置型パッドアンドファンとは、水を滴下し湿らせた網目状の専用パッドに通風し、気化冷却による冷房効果を得る装置である。
イ 本装置を風量及び吸水量が十分確保された状況下で稼働すれば、未設置施設に比べ日中気温が2.6℃、最高気温が3.5℃、日中地温が1.5℃低下する。さらに、飽差*は7.9hPa低下し顕著な加湿冷却効果がある。天窓や天井扇等の追加による換気促進により、加湿冷却効果はさらに向上する。
*飽差:その空気に入る水蒸気の余地で、数値が大きいほど乾燥していることを示す。高温乾燥ストレス下で加湿等により飽差が小さくなると、気孔開度が大きくなりガス交換が促進され、光合成速度が上昇する。
ウ 上記により、植物体近傍が生育適温に近づくことで生育が良好になり、着果率が10~15%程度向上するとともに、正常果率も向上し3割以上の増収が見込める。
エ 当装置の設置経費は、約20万円/100㎡である。

 

期待する効果

 300㎡以下の小規模施設では細霧冷房に対しコスト的に有利に導入できる。当装置の高温抑制機能による、トマト生育・収量改善(3割以上増)及び作業環境が改善され、熱中症被害の減少等が期待される。

 

連絡先

 農業技術センター 農産園芸部 0790-47-2423