開発技術名

「露地野菜の冠水被害軽減技術及び地下水位制御システムによる安定生産技術」

 

技術開発の経緯

 近年の気象変動により、大型台風の発生やゲリラ豪雨等による被害が増加傾向にあり、露地野菜では排水不良による定植の遅れや冠水被害が問題となっている。そこで、冠水程度と被害の関係を明らかにした上で、冠水後の被害軽減技術並びに排水機能と地下かんがい機能を兼ね備えた地下水位制御システム(以下、FOEAS)による露地野菜の安定多収技術の開発に取り組んだ。

 

開発技術の内容

① 冠水被害軽減技術
ア レタス、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリーに共通する冠水被害の目安として、結球初期までに6時間の冠水であれば、品質が悪化することなく、事後対策により被害の軽減が可能となる。
イ 冠水後の事後対策として、尿素の50倍液を500L/10a条間にかん注することにより、被害の軽減が可能となる。
② 地下水位制御システムによる安定生産技術
ア 露地野菜の生育に適したFOEASの設定水位として、常時田面-30cmに設定し、土壌乾燥時には地下からの用水供給のため、地下水位を田面0~10cmに設定することで、排水不良の無施工の圃場と比較して、タマネギで平均20%、春どりキャベツで平均23%増収し、収量が安定する。
イ FOEASの排水効果により平畝栽培が可能となり、タマネギ、キャベツでは、栽植密度を1.2倍に増加させることで収量が1.2倍に増加する。

 

期待する効果

 冠水程度と被害の関係を植え直しの基準として活用しながら、開発した事後対策により冠水被害の軽減が期待できる。また、FOEASの排水機能により計画的な作付けが可能となり、干ばつ時の地下かんがいにより天候に左右されない露地野菜の安定生産が可能となる。さらには、機械が導入しやすくなり規模拡大へとつながる。

 

連絡先

 淡路農業技術センター農業部   0799-42-4880 (作成者:中野伸一)