私の試験研究

   当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。今回は但馬水産技術センター 副主任 岸本早貴が担当します。

 

 皆さん、毎日必ず目にする番組・アプリ・HPはありますか?

恐らく 天気予報に勝るものはないと思います。服装、持ち物、行き先 etc.…その日1日を快適に過ごすための判断材料として、たくさんの人々に利用されていますよね。

 海で仕事をする漁師さん達にとっては、天気に加えて風や潮の向き、強さなども操業を左右する重要な情報です。中でも最も気になる情報は、「魚がどれだけ獲れそうか?」だと思います。

 但馬水産技術センターでは9月1日からの沖合底びき網漁業解禁に先駆けて、毎年8月に調査を行い、天気予報ならぬ魚予報を発信しています (https://www.hyogo-suigi.jp/tajima/wp-content/uploads/sites/2/2024/08/G2426.pdf)

 魚予報発信のために、まず調査船「たじま」を用いてあらかじめ決められた地点で操業を行い、沖合底びき網漁業の漁獲対象となる魚介類を採集します (写真1)。そしてその大きさや重さ、尾数を計測し、どれくらいの量の魚が、海のどの辺り、どれくらいの深さの場所で獲れたのかを整理します。そしてその結果から、今期の漁模様を予報します。

また、経年の調査結果と比較することで、長期的な現存量のトレンドを把握することができます。沖合底びき網漁業で最もよく獲れるカレイの仲間、アカガレイを例にみてみましょう (写真2)

 

 今期の調査では、但馬沖の、特に水深270 350 mで比較的多くの入網があったものの (図1、2)、その平均重量は前年を下回りました (図3)

 この結果を踏まえ、今期のアカガレイ予報では「漁場は但馬沖、水深300 m以深を中心に形成され、現存量は前年を下回るでしょう。」と情報を発信しました。漁師さん達はこれらを元に、「アカガレイを狙いに但馬沖の水深300 mの漁場まで行こう!」、「今年は去年より少ないのか。なら違う魚を狙おうかな?」など、操業の計画を立ててくれていることでしょう。

 天気予報の様に毎日…とはいきませんが、今後も操業の道しるべとなる様々な情報を発信していきたいと思います!